発酵堆肥で元気な土に
近頃は、有機農業が盛んに取り上げられるようになりました。戦前までは、有機栽培は当たり前の栽培でした。
日本は戦後、高度成長の時代を迎え、世界から注目される急速な経済発展を遂げました。しかし、その代償として、海や川、大気の汚染により、1968年に「大気汚染防止法」が、70年に「水質汚染防止法」がそれぞれ成立しています。いずれも目に見えるものであったため、比較的早い段階で対応が進みました。

一方、土壌汚染については見えないことから、「土壌汚染対策法」ができたのは2002年と、水質や大気問題から遅れること30年かかりました。

戦後、農業の世界において、農薬、化学肥料は画期的なものであり、農家の方の作業が非常に楽になったのも事実です。
農薬は害虫を防止するために散布し、生き物である微生物にも影響があるということが予想できます。一方、微生物は有機物を分解して活動しており、化学肥料は微生物のエサにはなりません。戦後数十年、化学肥料を使ったことで、微生物が減り、農地が疲弊したといわれています。
実際、農家の方のお話として、化学肥料を使うことで、当初は、多収穫であったのに、以前のように採れなくなった。連作障害が顕著になった。などの問題が起こっています。それなら、有機肥料を使いましょう、と安易に考えがちですが、その畑にはすでに、微生物が極端に少なくなっているため、有機肥料を与えてもなかなか微生物による分解が進みません。それを改善するためには微生物自体を増やさなければなりません。
そこで私たちが推奨するのは、「よい発酵堆肥を入れ、微生物の活動を活発にする」ということです。しかし、数十年化学肥料を使っていた土壌を一度の堆肥で改善するのはなかなか難しいため、毎年堆肥を入れ続け、3年、5年、10年経過すると、微生物の働きが良くなる土になっていくと考えています。
調査では、真冬の土中の温度は、化学肥料ばかり使っている場合より、有機栽培を続けているところでは、2℃も高いとのことです。このことからも、堆肥の必要性を感じます。
家庭菜園、プランター栽培では比較的短時間で顕著に結果が出るのではないでしょうか。
そこで堆肥を使っての有機栽培チャレンジとして、比較的やさしいホウレンソウ栽培を、簡単にお伝えいたします。
(詳しくは季刊誌「みづほ日本」令和3年立秋号参照)
《準備品》
・プランター
容量12ℓ以上推奨
(約65×23×18㌢)
・田んぼの土や培養土
・発酵堆肥
(プランターの容量に
対し堆肥を20~30%)
・肥料 約20g
(推奨肥料 明星1号)
・ホウレンソウの種
《栽培手順》
土と堆肥を混ぜて、肥料も一緒に混ぜてしまいます。1㌢の深さに種をまき、種が隠れる程度覆土します。土が乾かない程度に水を与えて生長を待ちましょう。
なお、種を5㌢間隔より狭く植え、間引いても構いません。
(人類愛善会「食・農」部会)