福岡事件ja of aizenkai

★古川龍樹氏、『福岡事件」再審請求キャンペーンを語る

2007.3.6


 去る3月6日(火)、熊本県玉名市にある生命山シュバイツァー寺 住職の古川 龍樹(りゅうじ)氏がこの5月に行う「福岡事件」再審請求キャンペーン『叫びたし寒満月の割れるほど・2007』のプロモ-ションの一環として亀岡に立ち寄り、フリージャーナリストのビル・ロバーツ氏の取材を受けた。

以下はその内容。
(文責・木村且哉)

Q1:まずは、生命山(せいめいざん)シュバイツァー寺(じ)の由来からお話ください。
「1973年に私の父・古川 泰龍(たいりゅう)が開山しました。父は1920年に佐賀県真言宗寺院に生まれ、僧侶として1952年から死刑囚の教誨師を務めていました。その中で、『福岡事件』の二人の死刑囚と出会い、61年から二人の無罪を信じ再審活動をはじめました。運動のさなか、神戸の賛同者から『あなたの運動こそシュバイツァー博士の精神を継ぐものです。』と言われ、アルベルト・シュバイツァー博士の遺髪を授かったのを契機に、宗派を超えて生命の畏敬を伝えるためにと生命山シュバイツァー寺を開山しました。」


Q2:「福岡事件」とはどんな事件でしたか。
「戦後まもない1947年に福岡市内で商人らが射殺され、警察は軍服にからむ闇取り引きでの強盗殺人事件として7人を逮捕し、うち主犯と殺害の実行犯として二人(西 武雄、石井健治郎)が死刑判決を受けました。
しかし、実際は闇取り引きと射殺事件は別の事件として冤罪(えんざい)が疑われ、1975年、石井死刑囚は恩赦で無期懲役に減刑。一方、西死刑囚には死刑が執行されました。父はその再審請求のために40年間奔走しましたが、2000年に他界しました。」


Q3:あなたはお父様の遺志を継ぎ、活動をしておられるのですね?
「一家をあげて死刑後再審請求に取り組んでいます。
処刑された西さんのご遺族とともに、2005年5月に福岡高等裁判所に再審請求を提出しました。また昨年の7月には8270名分の再審請求署名を福岡高裁に提出しました。
この署名活動には、大本・人類愛善会の皆様から大きなご支援をいただき、4300名という全体の署名数の半数以上のご協力をいただきました。この場をおかりしまして、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。」


Q4:私の国アメリカは、州ごとに法律は違いますが、現在37州で死刑を執行しています。先進国と言われているその他の国ではどうですか。
「日本と中国が現在も死刑を執行しています。しかし、EU加盟国はすべて死刑を廃止あるいは停止しています。韓国、ロシアでも現在、死刑執行停止中です。世界128カ国で死刑が廃止あるいは停止されているのです。」


Q5:昨年、スペインで講演をされたとか。
「聖エジディオ共同体に招かれて、昨年の12月に1週間の日程で行ってきました。大学、高校で講演をしたのですが、スペインでは30年以上、死刑が行われていませんので、学生達は日本で「死刑」が存在していること自体に驚いていました。日本は民主主義国家ではないのかと。」


Q6:日本の若者たちとは反応が違うのですね。
「若者に限らず日本では一方的な情報しか与えられていないのです。
実は、『福岡事件』の死後再審請求を行うにあたって、莫大な資料のデジタル化が必要なのですが、福岡県内の大学生たちがその作業をボランティアで手伝ってくれています。最初は死刑制度についてあまり考えたことはなかった彼らも、作業をすすめるにつれて、ひとり一人が深く死刑制度と向き合うようになってきました。
今回のキャンペーンの一つとして5月31日に西南学院大学(福岡市内)で、彼らとともに『福岡事件』の模擬裁判を行います。」


Q7:そのキャンペーンの内容を教えて下さい。
「5月20日から西武雄さんの命日である6月17日まで福岡を中心に全国7都市で行います。メーンの講師としてアメリカからシスター・ヘレン・プレジャンさんをお招きします。シスターは映画『デッドマン・ウォーキング』(ハリウッド女優スーザン・サランドンがシスター役を演じ、1995年アカデミ-賞助演女優賞を受賞した)の原作者であり、私の父の代からの親交者です。今回は6度目の来日で、キャンペーン講師としても3度目となります。」


Q8:私も2005年のキャンペーンの時に、神戸で彼女の話を聞きました。
「彼女は著書『デッドマン・ウォーキング』について、これは単なる死刑反対をテーマにした本ではなく、“死刑制度のもとに人を殺すとはどういうことなのか”を考えてもらうことを意図したものと述べています。5月30日には京都市北山にある京都ノートルダム女史大学で講演予定ですので、ぜひ皆さんにもお越しいただきたいですね。」


Q10:「死刑は国家権力による殺人である」という彼女の主張には、うなずけるものがありますね。
「『福岡事件』の主犯として処刑された西さんは最後まで無実を主張していました。
しかし国家権力によって、その声もかき消されたのです。キャンペーンのタイトル 『叫びたし寒満月の割れるほど』 は、西さん自身が当時の心情をつづった俳句なのです。」


Q11:ところで、日本では何割の国民が死刑存置に賛成なのですか。
「そうですね、8割は賛成ではないでしょうか。日本では死刑執行は秘密裏に行われるために、一般国民は何も知らされてはいません。マスコミから一方的な意見しか流れないのであれば、その影響を非常に受けるわけです。」


Q6:『デッドマン・ウォーキング』のワンシーンにもありましたが、アメリカでは処刑もすべて公開します。そして、死刑賛成派と死刑反対派が両方に陣取ってシュプレヒコールを上げるのです。
アメリカでは一つの出来事に対し、常に賛成・反対の双手に別れるものと考えて下さい。「やはり、情報を公開するということが一番ですね。私たちは少しでも皆さんに死刑制度のあり方を考えてもらうようにと、2003年に 『死刑をとめよう』宗教者ネットワーク (事務局:アムネスティ・インターナショナル日本)を立ち上げました。大本・人類愛善会もネットワーク設立当初から参画されています。まずは宗教者が手を携えて死刑廃止の実現に向けて訴えて行かなければなりません。 5月28日の福岡・大名町カトリック教会での講演は『宗教者ネットワーク第9回セミナー』として開催予定です。」


Q12:今回のキャンペーンが成功することをお祈りしています。
「ありがとうございます。ぜひ5月には福岡にお越しください。」


Q13:残念ながら、3月20日にはアメリカに帰国しますので、その頃には日本にいませんが、今後も古川さんの活動に注目しています。
死刑制度の問題は、アメリカでも日本でも大きなテーマですから。


Q14:最後に、この活動にあなたを駆り立てるものは何ですか。
「父の遺志です。父は『=人間一人の生命は全地球よりも重い=という言葉が本当に実践される社会を作らなければならない』と常々言っていました。父の生涯をかけた『福岡事件再審』を息子の私がなんとしても実現させたいのです。」
furukawabill.jpg写真左から古川龍樹氏、ビル・ロバーツ氏、矢野裕巳氏
本日は、貴重なお話をありがとうございました。

取材者プロフィール

bill.jpg大本節分大祭スピーチビル・ロバーツ
1950年米国に生まれる。カリフォルニア大学デイビス校で政治学を学ぶ。在学中、交換留学生として、エルサレムのヘブライ大学で中東政治を研究。ノー スカロライナー大学大学院でジャーナリスムを専攻、修士号を取得。1975年以来ジャーナリズムの第一線で活躍中。
1977~1980 The Charlotte News(日刊紙)
1980~1984, 1986~1988 Detroit Free Press(日刊紙)
1984~1985 International Herald Tribune(日刊紙)
1988~1990 San Jose Mercury(日刊紙)     
1991~1995 Ziff Davis magazines(コンピューター雑誌)
1995~Freelancer(フリー記者)
現代はフリーの記者として、主にシリコンバレーを中心に、主に技術系 の記者として科学技術、コンピュータービジネス関係等についての記事を執筆。湾岸戦争についての記事をはじめ国際的にも高い評価を受けた記事多数。
昨年の節分大祭時に、『A Portrait of Oomoto』を刊行。http://www.jinruiaizenkai.jp/ 『まつごごろ』誌に翻訳文(矢野国際部次長 訳)を随時掲載中!

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